タレントとファンのお別れ
「芸能人を応援してる子、直接応援するのやめようとか必要とされてないしなとかいう報告は、やめた方がいいと思います。
言われた芸能人はけっこう傷ついてます。
みんなのためにお仕事頑張ってるのになって。構ってほしい気持ちもわかるけど、私も人間の気持ちをもってます。
伝えてなくてもみんなの事大好きだから」
ある有名なモデルさんが、このようなツイートをし反響を呼びました。
それはもちろん彼女のこの発言を心配したり、讃えたり、賛同したりするものもありましたが、
ファンの気持ちがわかっていない、とか、結局は自分のためなのにみんなのためなんて烏滸がましい、みたいな声もありました。
私は全ての声に対して賛成できるわけではありませんが、
長年アイドルのファンをして、好きだったアイドルを降りる、応援しなくなるということも経験したこともあるのでファン側の気持ちも分かりますし、
私自身、タレントとの距離感を間違えているファンを見て、なんか違うなと思うこともあるので、このモデルさんの言うことも十分に分かります。
だからこそ、このようなツイートに対して色んな声が上がるのを見て、その2つの立場の距離感が、見えないけれどとても大きいんだということをひしひしと感じます。
まず、このモデルさんの言うように、タレントさんだって人間です。
リプライを送られれば本人が見たくなくても全て目に入るわけです。
わざわざ「ファンを降りる」ということを告げて、何がしたいんだろう。そんな悲しいことをわざわざ言いに来ないで欲しい。
タレントさんがそう思うのも当然だと思います。
1人ファンがいなくなっても、正直気がつかない。それは仕方がないことです。
けれど、タレントさんは1人1人把握することはできなくても、その存在を大切に想い、彼女が言っていたように「大好き」だと思ってくれている(悲しいかな、タレントさん全員がそう思ってくれているかは分かりませんが…)。
彼女がみんなのためにお仕事頑張ってる、と書いたのは、結局は働いて自分のお金のためだろうとか、お金とかの生々しい話ではなくて、みんなが喜んでくれることが嬉しいから普段から活動している、という、その言葉自体が彼女の優しさであり、彼女の愛情表現だと思うのです。
また、彼女を批判していた人の多くは、
ファンは彼女の仕事に対して、自分が働いて得たお金を払い、幸せを貰っている。
それは「必要」、必ず要るものではない。
それ故に、タレントに対して「お金を払ってもらっているんだから、ファンに文句を言うのは違う」という声でした。
わたしは、それは違う、と思うのです。
応援してもらったら、自分がされて嫌なことに文句を言ってはいけませんか?
お金を払ってもらったら、迷惑だと感じたことに、やめてほしいことに、声をあげることはいけないことですか?
その迷惑行為に、やめてほしいことに、もしファンの感情が乗っかっていて、それがたとえ愛からくるものだとしても、嫌なものは否定していいに決まってる。わたしはそう思いますが、世間は違うのかな。
だから、わたしはそういう理由で彼女の意見を否定するつもりはありません。
ただ、その点ではなく、ただひとりのジャニヲタとして、「応援をやめる報告をファンがすることをタレントにわかって欲しい」という気持ちもこめて、彼女のツイートへの否定的な気持ちもあります。
「応援しなくなる」ということは、タレントとそのファンという、一方関係な関係からすると「別れ」を意味するのです。
応援しなくなれば、タレントのほうから何か働きかけることはもちろんないので、そのタレントとの関わりはゼロになります。
日常生活に根ざしていたものがゼロになる。悲しいことです。自分が勝手に応援しないと決めたのだから、仕方ないことなのでしょう。それなら応援しつづければいいけれど、興味もなくなってきてるのに、お金や時間をかけることはできない。
そんな自分が悲しいから、せめてお別れを言いたいのです。
「タレント」に、というよりも、「そのタレントを応援していた自分」に。
じゃないと、踏ん切りがつかないから。
わたしがもしタレントなら、そんな悲しいこと言いに来ないでくれと言うかもしれない。なんでわざわざ、と。
でもたぶん、これが最大の理由なんだと思います。理解してほしい。
ただ、彼女の今回のツイートで、芸能人の本音を見られたわけです。
誰かしらのファンの方は、今の推しとお別れするときは、自分の感情をグッとこらえて「お別れツイート」「お別れのファンレター」は控えたいものですね。
そしてなるべく長く、今の推しとずっとずっとお別れしないで応援し続けていたいものです。